武田晋一による一刀両断
 

 僕は基本的には早教育に否定的である。
 スポーツにせよ、習い事にせよ、語学にせよ、早教育を受けたものは、そのつけで人生を生き抜こうとする傾向がある。
 そうした守りの姿勢と、反面、早教育で得た自信からくるプライドの高さが、しばしばどうも好きにはなれない。
 だが、これは、押し付けられた教育の話に過ぎない。
 例えば、僕の友人で、中学時代から写真に夢中だったというある写真家の作品を見ると、キャリアというか、言葉にはならない造詣の深さを感じる。
 好きで取り組むことと、押し付けられることとは大違いであり、もしも状況が許すなら、1つのことに時間をかけて取り組み、じっくりと力を蓄えることこそが、理想的な生き方ではないだろうか?
 時々、そうしてじっくりと力を蓄えつつある人に出会うことがあるが、「青森の蝶たち」は2006年2月の段階で、なんと!中学2年生の工藤誠也君が作成したホームページだ。
 ホームページの中の写真には蝶のスペシャリストであるお父さんの忠さんが撮影したものも多いが、まず感じるのは、1つ目に曇りの日の柔らかい光の使い方の上手さと、2つ目に蝶の種類ごとの特徴が良く分るように極めて丁寧に撮られている点だ。
 写真と言えば晴れの日がベストと考える人が多いが、強い影が出ない曇りの日の光にはまた違った良さがある。生き物の撮影の場合、影が出ない分、模様や形を繊細に描きだすことができる。
 誠也君もその点では、自然とお父さんの撮影術を身に付けている。
 昆虫の写真の場合、ストロボの使いこなしは非常に重要なテクニックであり不可欠だが、工藤誠也君には、是非、自然光の使いこなしにキャリアと造詣を感じさせるような写真家になってもらいたいと思う。
 僕はこれからも、工藤誠也君の活動を楽しみに見守っていくに違いない。
 
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