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2010.8.31(火) 更新
今月の水辺を更新しました。
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2010.8.28〜30(土〜月) 魚採り
幼なじみの一家を、どこか生き物がたくさんいる場所に連れていく約束の日。
まず、どんな生き物が好きかを子供たちに聞いてみた結果、何箇所かリストアップした候補地の中から、山口県宇部市にある休耕田を利用したビオトープに行ってみることにした。
ビオトープの横を流れる小川で魚を採集していたら、マルタンヤンマという大きなトンボが飛んできて、子供の胸に止まった。
まるでトンボの形をしたブローチのようだ。
トンボは卵を産もうとして、尾っぽの先っちょを服に突き刺そうとする。マルタンヤンマと言えば、植物の茎のような細長いものに卵を産みつけているのを見たことがあるが、洋服のような平べったい場所にも卵を産むこともあるのだろう。
小川に網を入れてみると、小さなオヤニラミが次々と網に入る。

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX
子供たちのお父さんは、男三人兄弟の真ん中。学年は、僕の妹と同じ年だから、僕よりも少しだけ下。一番上のお兄さんが僕と同じ年で、一番下の弟が僕の弟と同じ年になる。
子供たちの姿を写真に収め、それを改めて眺めてみると、そのお父さんが子供の頃にそっくりで、まるでタイムトリップしたかのような気持ちになり、昔が思い出される。
武田家の教育方針は、得意なものを伸ばすというよりは、欠点を消すことの方に重点が置かれていた。
僕は子供の頃から生き物が大好きだったけれども、その生き物を存分に勉強しなさいというよりは、生き物のことを勉強するためには英語も大切だから、生き物は一旦置いておき、まず英語を勉強しなさい、というのが父の発想だった。
苦手なものを徹底して勉強したら、苦手が得意になる、というのが父の口癖だった。
そうした子供の頃に受けた教育は、あとあとまで影響を与えるものだと最近しみじみ思うことがある。僕は、写真を勉強する際に、苦手を消そうとしてきたのである。
例えば僕の場合、風景の写真を苦手にしていたのだが、ある数年間、生き物にはほとんどカメラを向けずに、その苦手な風景ばかりを徹底して撮影したことがある。
また、人物の撮影も大の苦手の1つだが、それもやはり、意識的に練習してきた。
そして今では、風景の中に人物がいるというのは、むしろ好きなパターンの1つでもある。

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX
ともあれ、飽きもせずに、何であんなに長く遊べるのだろう?そして、仲良く兄弟で遊んでいたかと思えば、突然に喧嘩が始まり、その様子は、ちょっと気に障ったなどというよりも真剣勝負そのものだ。
そして、また突然に仲良く遊び始める。
僕たちも、子供の頃はそんな風だったのだろうか?
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2010.8.26〜27(木〜金) 脱輪

NikonD3X Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 SILKYPIX
洞窟の名所・北九州の平尾台の、地元の人もほとんど知らない辺鄙な場所で、タイヤを脱輪させてしまった。
大量に植物が茂っているので、写真では平らな場所に見えるが、脱輪をさせた車の運転席側は、実は2Mくらいの落差があり、一人ではどうにもならない。
しかたがないので、救援をお願いすることにした。

NikonD3X Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 SILKYPIX
人が駆けつけてくださるまでの間、最初は写真を撮っていたのだが、動けない車を放ったままではどうも楽しくない。そこで、カメラを仕舞い、木陰で現在制作中の本の原稿を書くことにしたら、それまで難産していた箇所が、意外にもスイスイ書ける。
頭を使う作業は、他にすることがない方が集中できる。
そう言えば、その本の企画を考えたのも、身動きが取れない飛行機の中だった。
まとまったアイディアなんてないくせに、出版社で写真を見てもらう約束をあらかじめ取り付け、何となく写真を数枚選び、行きの飛行機の中でその写真を使った企画を考えだしたのがすべての始まりだった。
自宅で毎日のように頭をひねらせても何も湧いてこなかったのに、東京までの飛行機の2時間にも満たない時間で結論が出た。
ともあれ、軽自動車以外は通れないような場所なので、脱輪に気付いた時には、さすがに焦った。
まずこの場所を理解してもらうことが非常に難しいし、さらに場所が分かっても、大きな車が入れないのだからレスキューの手段も限られる。
アクシデントが起きた時は、僕は、それがどこであろうが、まずトンボの写真家・西本晋也さんに相談することにしている。
以前にも、東北のどこかの河川敷で車が動けなくなったときにも、やはり電話をしたものだ。
西本さんは現実的でかつ前向きなので、こちらも冷静になれるし、元気がでる。また、西本さん自身に手の打ちようがなくても、こうしたらいいのではないか?と考えてくださるのだ。
今回も、西本さんの案で、平尾台自然観察センターに電話をしてみたら、平尾台をパトロールカーするための車で助けに来てくださった。
パトロールカーから降りてきた西本さんの姿が、一瞬目を離した間に、まるでテレポーテーションのように消えてしまった。
僕が、脱輪させたのと同じように、地面があると思った足をついた場所に地面はなく、落っこちてしまったのだ。
「あいたたた、ここ結構落差がありますね!脱輪だけですんで良かったですね。車が落ちとったら、最低けが、下手したら死ぬでしょう。」
普通の2輪駆動の車の場合は、脱輪をさせたら動かなくなるから、それ以上事態を悪化させる可能性は低いが、4輪駆動の車の場合は、下手に動かすと車全体が谷に落ちてしまう危険性がある。
そしてこの場所の場合、多分、車を引き揚げるのは、不可能ではなかろうか。
 NikonD3X Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 SILKYPIX
写真は、左から西本晋也さん、自然観察センターKさん、自然観察センターSさん。
自然観察センターのSさんは、その風貌を一目見ただけで、ただ者ではないオーラがただよっているのだが、あまりに手慣れているのでレスキューの経験でもあるのかと思って聞いてみたら、以前材木を扱っておられ、その際に様々な経験を積まれたのだそうだ。
(お知らせ)
北九州市平尾台自然観察センターにて、写真展を開催中です。是非、御覧ください。
期間 7月1日(木)〜8月30日(月)※夏休み期間中は毎日開館
内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.24〜25(火〜水) プロフィール

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX
過ぎたるは及ばざるが如し。1冊の本の中に写真や言いたいことを詰め込み過ぎると、逆に伝わりにくくなる。だから、本の中に書き記すことや使用する写真は、絞りこまなければならない。
だがそうして取捨選択をしてみると、およそ30ページの本というのは実に短い。たったこれだけのことしか言い表わせないのか、と物足りなく思う。
だから編集者はページの使い方を工夫し、その限られたページを上手く使おうとする。
では、写真家には、いったい何ができるだろうか?
例えば、一枚の写真を撮る際に、その写真がいろいろな見方ができるように撮ることができれば、たった一枚の写真で、シンプルに、でもたくさんのことを伝えることができる。
本の中には大抵著者を紹介するページがあるが、そこで僕のことを紹介するためのプロフィール写真だって、ただ僕の顔を見せるだけなんてもったいないし、本の物語をより膨らませる写真であって欲しい。
さて、2種類のカメラを持って、森の水たまりへ向かった。
1台は水中撮影用のカメラ。森の水たまりの中を撮影するのに大活躍した僕の愛機だ。
そしてあとの1台は、普段陸上で使用しているカメラ。
二兎追うものは一兎をも得ずというから、僕は普段は、1つのことに集中するために、どちらか1種類のカメラだけを持っていく場合が多い。
だが今日は、本の中で使用する僕のプロフィール写真を撮るために、2つのカメラを持っていった。
まず、陸上に設置した三脚にカメラを取り付け、水たまりの方向にレンズを向ける。
次に、水たまりの中に水中カメラを置き、その置かれた水中カメラを写真に撮ってみる。
今日の画像は、水中カメラが小さく写り過ぎているように感じられる方もおられるだろうが、これはあとで、僕が、水中カメラと一緒に写真に写るためである。
画面の明るさはいいか?ピントの合い方は大丈夫か?それらを確認したら、今度は僕が水たまりの中に入り、置かれた水中カメラを構え、リモコンで陸上のカメラを操作し、シャッターを切る。
風景写真の中に人の姿が入ると、その場所の広さや奥行きがよく分かるようになるが、今回の本では、プロフィール写真を使って、そんな風に、本の中に登場する場所の雰囲気を伝えようと考えたのだ。
また、特殊な撮影に使う道具や格好だって面白い。
それにしても、 リモコンで自分の写真を撮るというのは、なんと間抜けなんだろう。
(お知らせ)
北九州市平尾台自然観察センターにて、写真展を開催中です。是非、御覧ください。
期間 7月1日(木)〜8月30日(月)※夏休み期間中は毎日開館
内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.21〜23(土〜月) 知的財産権
スポーツの世界には盗作はない。たとえば、イチロー選手のバッティングフォームを他の選手が真似をしても、訴えられることはない。
真似をした選手が、真似られた選手と同じチームで、しかも真似で成功し、元になった選手の方がレギュラーの座を奪われ損害をこうむり、それが訴訟沙汰になるような話も、聞いたことがない。
また、歌手が自分の歌い方を真似られた、と他人を訴えるような話も聞いたことはない。
体で表現をする世界には、基本的に真似は自由であり、盗作はない。
盗作とか著作権って何なのだろうな。
写真家の社会では、知的財産権と言われる概念に少しでも疑いを持つ者は、反社会的な思想の持ち主になるのかもしれない。
だが、ふと子供のころを振り返ってみると、有名ブランドのマークがついただけで内容的には同じ商品の値段が跳ね上がることを知った時には、そんな知的財産権を売り物にする商売の方が、いかがわしいように思えた。そして、今でもそんな思いが全くないと言えばウソになる。
偽ブランドのバッグをつかまされ、腹を立てている人を、一方で気の毒だとは思うが、一方で、でも、あなたにも偽物と本物の区別がつかないんでしょう?なら、いいやん、同じものやん、と思わないでもない。
真似をしてはいけない、という考え方はいったい、いつ、誰が言いだしたことなのだろう?僕が知る範囲の話ではあるが、野生生物の社会に真似をしてはいけないというようなきまりはないから、その野生生物から進化した人間の世界に、最初から真似をしてはならないという考え方があったわけではないだろう。
いや厳密に言えば、ある種の野生動物が主張する縄張りは、
「これは俺の場所だ」
とか
「これは俺の食べ物だ」
などと何かに対する所有権を主張する点で、
「これは俺のアイディアだ」
と主張する知的所有権と本質的には同じことなのかもしれない。
だが、アイディアは、場所や食べ物と違って物体ではない。知的財産権=現代の人間にとっての縄張り?
人間の歴史の中で、一番最初にアイディアという物ではない何かに所有権を主張したのはどこの誰なのだろう?
ともあれ、現代社会の中で問題になる知的財産権の場合は、先進国の人が、先進国が有利になるように考えだした概念ではなかろうか。その証拠に、著作権などをひどくおそろかにするのは、たいてい後進国だ。
だが、先にそこにたどり着いたからと言って、それを独占してもいいのだろうか?先にたどりついたことが、そんなに大したことなのだろうか?
僕にはそれが、小学校6年生のお兄さんに小学校3年生の弟が解けない算数の問題が解けることと同じように、たまたま先に存在しただけに過ぎないと感じられることがある。
また、先進国が知的財産権を主張することと、先進国が後進国から搾取することが、僕には、やはりダブって見えることがある。
僕は、知的財産権という考え方のすべてを否定するつもりはないし、ルールには従うけれども、それはあくまでも交通ルールのような決めごとであり、それを絶対的な正義だとは思わないことにしている。
(お知らせ)
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期間 7月1日(木)〜8月30日(月)※夏休み期間中は毎日開館
内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.20(金) 洞窟(後)
僕が経験したことがある撮影の中では、洞窟での撮影ほど辛いものはない。一昨日の撮影だって、それはそれは、大変にきついものだった。
洞窟での撮影を経験すると、長時間の山登りを伴う撮影が楽に感じられる。
だから今回も、ちょうど一ヶ月ほど前にガイドさんに洞窟行きの予約を入れてからその撮影が終わるまで、頭の中には常に洞窟のことがあり、気が重くて晴れやかではなかった。
自分から洞窟行きをお願いしておきながら、いっそうのこと仮病を使って中止にしてしまおうか。しばらく入院したいな、と真面目に何度も考えた。
撮影用の道具さえなければなぁ。
カメラが入ったザック。三脚。ベストに詰め込んだ小道具。人が一人ギリギリ通れるくらいの狭い空間は、物がたくさん詰まったベストや持ち物のせいでなかなか通り抜けることができない。
そもそも一昨日の場所は、それらの道具がなくても丸腰でも楽ではない場所だ。洞窟に入って間もなく、あまりの先の長さに、頭がクラッとしそうになった。
大学受験の時に、英単語がぎっしり詰まった単語の本をペラペラとめくった時にだって、そこまで絶望的な気持ちにはならなかった。
では、なぜそんな場所に行くのか?と言えば、辛いからとしか言いようがない。
まず頭を使ってアイディアで勝負をする世界は、そのアイディアをまねられやすいが、体を使って体力で勝負をする世界は、なかなか真似られない。
特に、カメラマンには、体力的にきついことを嫌い、避けたがる人が多い。
だが、日頃は立派な哲学を主張している人が、きついからという理由で写真を撮りに行こうとしないのを目にすると、僕は大変にがっかりさせられる。なんだ、所詮その程度の気持ちか、と。
だから僕は、体力的に厳しくて、きつければきついほど、自分が行きたくない場所であればあるほど、必ず行ってみることにしている。
別にマゾではない。
それは自分自身に対するやる気の確認ととことんまでやるぞという決意表明であり、仮病を使ってでも避けたいくらいでなければ、意味がないのだ。
(お知らせ)
北九州市平尾台自然観察センターにて、写真展を開催中です。是非、御覧ください。
期間 7月1日(木)〜8月30日(月)※夏休み期間中は毎日開館
内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.18〜19(水〜木) 洞窟(前)
子供のころ、大学時代にワンダーフォゲルに所属していた近所のおじちゃんに、時々山登りに連れて行ってもらった。
「おい、しん。ワンダーフォーゲルっちどんな意味か知っとるか?ワンダーフォーゲルっち言うのはのお、ドイツ語で渡り鳥のことよ。」
屈強な山男の姿を思い浮かべた。ワンダーフォーゲルというその重厚な響きには憧れを感じた。
だが今になってみれば、大学生なのだからまだ二十歳前後の若者であり、そのごく僅かなキャリアでそれほど自然のことを知っているはずもないし、非常に頼りない。
北海道でワンダーフォーゲル部の学生が沢にテントを張り、鉄砲水に流されて命を落とす事故がおきた。
自然を知らないと言えばそれまでかもしれない。
だが、彼らのキャリアを考えると、本当なら、就寝中にテントの中に水が入ってきてびっくりして飛び起きるような小さな経験を積み重ねながら少しずつ詳しくなっていくはずの段階であり、ただ運が悪かっただけなのかもしれない。
僕は直接人の係わるのがあまり好きではないから、本という表現の手段を選んだ。時々、講演を依頼されることがあるが、いまだに、なんだかんだ言って逃げ回っている。
だが、いずれ子供たちと直接接し、水辺の怖さと楽しさを直接伝える機会を持たなければ、という思いが強くなりつつある。
ただ、自然の中で必要なのは、知識だけではない。
時々、ガイドがついているにもかかわらず山の事故がおきるが、僕は、散策程度ならともかく、場合によって命にかかわるような山行きで、見ず知らずのガイドさんについていく気にはなれない。
自然の中で求められるのは、知識に加えて危機管理能力や警戒心であり、もしもガイドをお願いするのなら、ある程度人間性が分かっている人に限る。
さて、洞窟の撮影に行ってきた。
計画をコーディネートしてくださったのは、平尾台自然観察センターの梶屋博さんだが、絶対に自然をなめてかからないとても慎重な人だ。
だからこそ、お願いできる。他にも二人の超ベテランガイドさんが参加してくださったのだが、その梶屋さんが声をかけた人なのだから、言うまでもなく、さすがと言える人選だった。
(お知らせ)
北九州市平尾台自然観察センターにて、写真展を開催中です。是非、御覧ください。
期間 7月1日(木)〜8月30日(月)※夏休み期間中は毎日開館
内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.15〜17(日〜火) 帰化生物(後)
以前は、車を走らせながらよく音楽を鳴らした。特に、北海道や東日本など、九州に住む僕にとって遠くに出掛ける際には、数十本のカセットテープを収めたケースを必ず持っていったものだ。
だが最近は、ほどんと音楽を聴かなくなり、代わりに考え事をするようになった。
中には、音楽を聴きながら考え事をするという方もおられるが、僕は全く逆。僕は、文字で物ごとを考えるタイプであり、物を考えるときには必ず頭の中で言葉をしゃべるし、他の音があると、考えることに集中ができないのである。
音楽を聴きながら物を考えるのは、僕にとっては、2つの音楽を同時に鳴らすようなものだ。
 NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX

NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX
さて、人間にとってスピードって何なのだろう?
仕事をする際には、たいてスピードが求められる。もちろん、正確さも不可欠であることは言う間でもないが、スピードを上げることを考えない会社などは、まずないのではなかろうか?
ユーザーがクレームを申し出ても、なかなか対応できない会社を好きな人はあまりいないだろう。
また、新しい製品の開発が遅ければ、その会社は取り残される可能性が高い。カメラの世界では、一時期開発の速度が遅かったニコンを多くのユーザーが見限り、キヤノンのカメラを使うようになった。
物流だって、幹線道路や高速道路を整え物の移動の速度を上げることは、その国の発展にとってとても重要なことだ。
このお盆は熊本県にある湧水の池へと出かけ、阿蘇〜大分県をまわりで帰ってきたのだが、子供の頃にはとても遠い場所のイメージだった地名が、整備された道路のおかげで随分近くなった。父が、車の運転でクタクタになりながら連れて行ってくれた場所は、今やすぐ近くになった。
ところが一方で、今世の中で叫ばれている問題の多くは、人のスピードが速すぎることに由来している。
たとえば、地球の温暖化の問題だって、そんな例の1つに違いない。
地球温暖化の問題は、地球が温暖化することが問題なのではなくて、温暖化のスピードがあまりに速すぎて、それに人間の社会や自然がついていくことができないことが問題だ。
また、少子化の問題だってそうだ。
社会が変化して日本人の生活のスタイルが変わり、その結果人口が減ること自体は別に悪くはないのだろうが、その際の減り方があまりに急だと、人がそれについていけなくなる。
帰化生物の問題だって、そんな側面がある。
外国から生き物が入ってきて野生化する。すると、その野生化した生き物が、現代の高速化された物流に乗っかり、駆除や対策をする間もなく、あっという間に全国に広まってしまう。
その前に、本来なら船で何日もかかって日本にようやく届くはずの地球の裏側からの生き物が、今なら飛行機であっという間に届く。 なんと矛盾したことなのだろう?
一方でスピードを求め、他方で、自分たちがスピードを求めていることをすっかり忘れたかのようにスピードの弊害を嘆く。
外国の生き物が日本に住み着き、それまでそこで目にしていた自然がガラリと姿を変えるさまを目にする時、僕は日本の自然が好きな一人として一言言いたくなるが、僕にそれを言う権利はあるのだろうか?
考えれば考えるほど、分からなくなってしまう。
(お知らせ)
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期間 7月1日(木)〜8月30日(月)※夏休み期間中は毎日開館
内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.14(土) 帰化生物(中)
帰化生物の中には、逃げ出したペットや捨てられたペットなどに由来するものがいる。だから、帰化生物の問題が取り上げられる時には、ペットを飼う人のモラルが問われることがある。
だが、そこで飼い主のモラルを問うのは、僕は、形式主義や縦前主義が若干行き過ぎているような気がしてならない。
なぜなら、そのペットが、例えばワニガメでもいいし外国産のカブトムシやクワガタでもいいが、輸入をされた時点で、遅かれ早かれ、いずれ日本に帰化することは決まったようなものであり、帰化は最初から時間の問題だったはず。
わかりきっていることが、当り前に起きているだけなのだ。
それを、輸入された段階では黙っているのに、あとで帰化生物した生き物がはびこってから言うのは、なんだか形だけの指摘のような気がする。
知識や情報を共有することは、大変に難しい。振り込み詐欺という手口がありますよとあれだけ報道されても、やっぱり単純な手口にだまされる人が後を絶たず、それを知らない人がたくさんいるのだから、まして帰化生物の問題をみんなに知ってもらい、みんなのモラルでペットが帰化しないようにすることなど、あり得ないのではなかろうか。
また仮に全員が帰化生物の問題を共有し、気をつけていたとしても、生き物は逃げ出してしまうことがある。
輸入を許していることが原因なのに、その問題を、飼う人のモラルの問題にすり替えているような気がしてならない。外国の生き物は、特別に認定された一部のものだけを輸入できるようにするべきではないのか?
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2010.8.12〜13(木〜金) 帰化生物(前)
言いたいことはたくさんあるが、詰め込み過ぎると肝心なことが伝わらなくなってしまうから、取捨選択をしなければならない。
たとえば、今制作中の、とある町中の湧き水の池の本なら、豊かな湧水とその水に暮らす生き物たちや、遊ぶ子供たちの明るい姿がある反面、帰化生物の問題という暗い側面もある。
一年中水温が変わらず、冬の寒さの影響をほとんど受けない湧水の池では、帰化生物が繁殖しやすく、今僕が取材中の幾つかの湧水池の中にもティラピアが大繁殖している場所があり、それらを見ていると、どうしても一言言いたくなる。
だが、それをぐっとこらえる。今回の本のテーマは水に絞る。
帰化生物の問題は、また別の本に譲る。幸い、本は全5冊セットであり、その中には帰化生物の問題など、人間と生き物との関係をテーマにした巻もある。
帰化生物の由来はさまざまであり、一概には言うことができないし、中には、カダヤシのように、それを放した人を容易には批判できないと思われるケースもある。
僕は大学〜大学院時代にアカイエカやチカイエカの研究をしていたので、蚊に関する古い本はずいぶん読んだが、病気を媒介する蚊は、一昔前の日本では、最も恐ろしい生き物の1つだったようだ。
そして、場所によっては、放たれたカダヤシが絶大な効果を発揮し、その蚊の被害を軽減することに一役買ったことは、間違いない事実のようである。
近頃は、日本で人が命を落とす原因になる生き物のNO1は、おそらくスズメバチだと思うが、昔は、蚊が最も怖い生き物だったようだ。また世界的にみれば、今でも、マラリアなどを媒介する蚊は、最も怖い生き物であることには違いない。
そんな時代を体験していない僕は、湿地が失われているといとも簡単に嘆く。
だがその湿地だって、一昔前の人にとっては、蚊の発生源になる忌まわしい場所であったことを思うと、僕はもっと発言の仕方に気を配らなければならないと思う。
文明と自然とのバランスの取り方こそが大切なのであり、少なくとも、自然を破壊する悪とそれを守ろうとする正義という構図は、むしろいかがわしい。
さて、僕は、何か一芸に秀でているわけではない。つまり、才能がない。
ところが、才能がない人間にも、それなりのやり方がある。物事を1つずつ、丁寧に、論理的に積み上げていくやり方である。
最初は、「俺はこんなシーンを撮りたい」とか、「これが俺の写真だ」というのを徹底して封印し、まずは求められる写真を撮った。そして自然写真業界の中に入れてもらい、そこで黙って仕事をすることで、業界のしきたりや考え方や本作りを教えてもらった。
実に日本的なやり方であろう。日本の部活動では野球部の生徒が球ひろいから始め、囲碁や将棋の世界で内弟子になった人が師匠の家の掃除から始めるような、見て覚え、真似るという発想だ。
そして次の段階として、今度は僕にしか作れない本を作ろうとしている。
僕は、ここが、今が一番肝心だと思っている。
僕のように見て覚える日本的なやり方を選択すると、最後まで真似にどっぷり浸かってしまう危険性があり、いつかどこかのタイミングで、自分の意見を打ち出し、前に出る必要があるのだ。
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2010.8.10〜11(火〜水) 精神力
窓を全開にして、朝っぱらからベッドに横たわってみる。今日は、近づいている台風の風が心地いい。
事務所のすぐ裏にはJRの駅があり、窓を開けると、僕は本来音がうるさいのが大苦手ではあるが、列車や駅の放送など鉄道の音は、なぜか嫌いではない。
今度は、窓を閉めてエアコンをかけ、テレビを眺める。
そして次はソファーに横たわり、しばらくネットサーフィンをする。
さらに、床にうつ伏せに寝てみるなど、自分でも何がしたいのかよくわからなくなる。
気ままな時間ではあるが、楽しいわけでも快適でもなく、むしろ苦しい。
傍らには、今作りかけの本に関する資料があるが、資料を1ページ眺めては、10分ほかのことをするような時間が続く。
真面目な人なら、自分を許せなくなるようなだらだらした時間であろうが、そんな時間が必要な場合がある。
だが、ところどころに目に見えない迷路からの出口が一瞬生じることがあり、ふとした拍子にそこを通った時にだけ、作業が次の段階へと進むことができる。
アイディアは、真面目に振る舞えば出てくるわけではないところが難しい。
アイディアを絞り出そうとしてそんな時間を過ごしてみると、世間では褒められたことである『真面目である』ということが、むしろ日本人独特の形式主義か横着のように思えてくることがある。真面目に振る舞うこと=私はちゃんと義務を果たしましたよ、という一種のアリバイ作りではないのか?と。
例えば、『真面目に作った本』、というのがあったとしても、大切なことは、真面目に作ったかどうかではなくて、本のクオリティーが高いかどうかであり、真面目に・・・は、一種のごまかしかすり替えではないのかと思えてくることがある。
ともあれ、だらだらした時間に耐えるのにも、それなりの精神力が必要なのだ。
むしろ、だらだらだらだら、ごろごろごろごろしているにも関わらず、心の中に一点の不安も感じな人こそ、すごい精神力の持ち主であり、褒められるべきではないのか?
僕も、子供のころにはかなりの精神力を持ち合わせていたのだが、大人になるにつれて、それらの力を失いつつある。
なんちゃって。
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2010.8.8〜9(日〜月) 言葉が気になる
僕は1つのことを長く考え続けるのは得意だが、逆に、閃きを要求されるような作業は、得意ではない。
とにかく1つずつ積み上げていくタイプであり、文章を書く場合だって、一言で決められないから、自然と長くなる。
例えば、本作りの作業の中では、タイトルを決めるのは閃きが求められる作業だと思うが、僕には、ただの1つも気の利いた言葉が思い浮かばない。
本作りのタイトルは、大変に重要なものなのに。
たとえば、今森光彦さんの本の中で使われ、広く知られるようになった 『里山』
という言葉。
今森さんが主に撮影しておられる場所は琵琶湖の周辺のようだが、タイトルにその里山という言葉がつくことで、読者はそれぞれの故郷をイメージすることができる。琵琶湖の付近の写真を見ながら、秋田の人は秋田を、岐阜の人は岐阜を、広島の人は広島を思い浮かべることができるから、ある限られた場所で撮影された写真が、広く全国に通用するようになる。
僕は今、言葉が大変に気になる。
大相撲の力士の四股名には、好きな響きの言葉が多いが、誰がつけているのだろう?
音楽のタイトルや歌手のグループ名にも、耳に残るしゃれた言葉が多い。
そして、その言葉が一旦耳に残ると、次にはその音を聴いてみたくなったり、そのグループがテレビに出演していれば、ちょっと見てみたくなったりする。
僕は男性のアイドルグループなどには全く興味がないし、その気もないが、ある時、東方神起という言葉の響きにひかれて、テレビの番組を眺めてみたら、ダンスも歌もいいし、彼らが非常にかっこいいので驚かされた。
韓国人と日本人の違いだろうか、なんであんなに手足が長いのだろう?もう一度見てみたくなるではないか!あれを一度見てしまうと、ダ・パンプが・・・・。
韓流スターを追いかけ回っているようなおばさんは、余程に暇な人なのだと決めつけていたのだが、もしかしたら、僕が間違えている?
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野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.6〜7(金〜土) 取材から帰ってみると

NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX
 NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX
取材の最終日。山頂を撮りたい時に限って見事な雲がでるから、今日もダメかと気が焦る。もう一日日程を伸ばそうと思えば伸ばせるが、その場合は、ちょっとだけ人に迷惑がかかる。
天気予報は晴れになっているからいずれ雲は取れるだろうが、それまでに時間がかかり過ぎると、この場所では太陽の位置が悪くなり、撮影には適さなくなる。
だがこの日は運よく、間もなく青空が顔をのぞかせ、雲の代わりに阿蘇の河口からの煙がモクモクと立ち上った。
取材に出かけると、不便な生活もいいな、エアコンなんていらねぇ、テレビもいらねぇ、インターネットなんてくだらねぇ、少々危険があったっていいじゃあいか、と思う。
物がないことの良さを思う。
だが帰宅をすると、今度は逆に、文明のありがたさや安全な暮らしの良さを改めて思う。
インターネット上の記事だって、いつもよりも面白く感じられる。今日は海野先生の小諸日記が面白かった。海野先生の日記には誤字が多過ぎると人から指摘をされたのだそうだ。
自然写真を仕事に選んで何が良かったか?と言えば、不便さやきついことを体験することで、文明のありがたさを再認識し、文明に、つまり毎日の生活に感謝できることなのかもしれない。
そう言えば、文明の利器に対して批判的で、人のすることに対してほとんど自虐的とも言える厳しい評価を下したがる人には、圧倒的に町の人が多いように思う。そんな人は、一度どっぷりと、不便な暮らしをしてみてはどうだろうか?
もちろん、文明や物さえあればいいわけではない。だが、物質文明の弊害に対して、物をなくせばいいというのは的外れであり、今の時代は物と上手に付き合っていくすべを身に付けることが大切であるような気がする。
そして物と上手に付き合うためには、時たま不便な暮らしをするのもいいだろう。
ともあれ、僕は、海野先生の小諸日記の中の誤字や脱字を見ると、何だかホッとさせられる。僕自身も、日付や曜日の間違えや誤字が多いタイプでもある。
自分がだらしがないから人を見て安心するというのではなくて、あれだけ誤字脱字があっても、、いい仕事ができるという事実に安心させられる。
もちろん、何事にも限度はあるが、その手の正確さというのは、僕らの仕事の本質ではないのだと。
だが、そうした開き直りこそがまさに気に入らないという人もおられる。誤字脱字がどうしても許せない人の中には、それを、
「字を直すなどというのは俺様の仕事ではないから、そんなつまらん作業は誰かにやらせとけ。」
という風に受け止める方もおられる。
がしかし、それはその方のコンプレックスであろう。
僕などは逆に、誤字や脱字や粗相をやってしまうのではないか?といつもビクビクし、またそれが原因で自己嫌悪になることも珍しくない。
(お知らせ)
北九州市平尾台自然観察センターにて、写真展を開催中です。是非、御覧ください。
期間 7月1日(木)〜8月30日(月)※夏休み期間中は毎日開館
内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.5(木) 五感

NikonD3X AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED SILKYPIX
画面の中央付近は雨が降っているのだが、右側は晴れ。今日も昨日に引き続き、天候が気まぐれで撮影が難しかった。
面白い形の雲が現れては去っていく。
水辺の撮影には適さない天候だったので、熊本市の図書館に行ってみたら、生き物の写真集が自然や科学の棚ではなくて、子供向けの絵本の棚に並んでいるのが良かった。
さて、昔、黄昏時にカエルが鳴き始める様子をビデオで撮ろうと思ったら、思いの他、雑音が邪魔になり、どうにもならなかった。
そう言えば、写真には音は映らないので、僕は、ロケハンをしてカメラを構える場所を決める際に、音を考慮する習慣がないが、ビデオで音も一緒に記録するのなら、雑音の有無は頭に入れておかなければならないだろう。
だがそのビデオにも、ニオイや味や皮膚の感覚は直接は映らないので、それをあらわそうと思うのなら、何かを介して、間接的に表現しなければならない。
ところで、僕が今カメラを向けている自然現象を、作家はどのようにあらわしているのだろうか?
水の中の音を。あるいは風や季節を。そして命を。
すると、宮沢賢治という人が、大変な存在であることに改めて気付かされる。
正直に言えば、僕には宮沢賢治がピンとこない気がする。例えば、風の又三郎を読んでも、その情景の描写がどうしてもしっくり来ない気がする。
僕が九州の人間だからだろうか?9月のいついつと言われたって、福岡ではまだ真夏だ。
だが、自分が本を作る立場に立って、写真には直接は写らないものをあらわそうともがき、そのヒントを他に求めると、水をあらわそうとしても、風をあらわそうとしても、命をあらわそうとしても、あらゆる場面で、宮沢賢治にぶち当たるのだ。
「また、あなたですか!」
と。

NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX

NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX

NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX

NikonD3X AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6G(IF) SILKYPIX
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北九州市平尾台自然観察センターにて、写真展を開催中です。是非、御覧ください。
期間 7月1日(木)〜8月30日(月)※夏休み期間中は毎日開館
内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.4(水) 熊本の湧き水
以前、本作りのための調べごとをしたくて熊本市の水道局に行ってみたら、俳優の真田広之さんと長谷川初範さんと足して2で割ったようなカッコイイおじちゃんが出てきて、実に穏やかな物腰で、熊本市の水について説明をしたり、資料をコピーしてくださった。
驚いたのは、熊本市の水は100%地下水であるということ。そういえば確かに熊本市の周辺にはダムがないし、一方で町の中には、びっくりするくらいの勢いで水が湧いている箇所が、あちこちにある。
中には石垣の合間から大量の水が噴出し、そこが川の始まりになっているような場所もある。
今は夏休みなので、子供たちが時々遊びに来る。
子供を見守っているおばあちゃんが、
「写真の邪魔をしたらいかんよ。」
と注意をするが、どうも僕のカメラが気になってしかたがないようで、わざわざ僕の目の前で魚を捕まえてみせてはコツを教えてくれる。毎日、午前中に1時間、午後に2時間、日課として魚を捕まえるのだそうだ。
自然の中では、大人こそがよそ者であり、いくらでも邪魔をしたらいいと思う。
とにかく、あちこちに、泳ぐことができる水辺がある。
「子供に命の大切さを教える。」
と称して子供たちを自然の中に連れ出すことに、僕はあまり興味がない。
僕にとって自然は自由の象徴であり、自然をもっと知って欲しいという強い思いはあるものの、一方で全員が自然を知らなければならないとも思わない。町が好きな子やゲームが好きな子がいたって構わないと思う。
ただ、自然を好きな子が自然と接することができる自由な環境が、さりげなく、当たり前のように身近にあって欲しいと望む。
僕らが子供のころに遊びまわったような。
今は、大人がそれらの場所を占領してしまっている嫌いがある。
これは罠をしかけているのだから触ったらダメ。あれも触ってはダメ。ここは入ってはダメ。ここは扱ってはダメ、と大人があつかましくも縄狩りを主張する。
雑木林に行けば、クワガタムシを採集するために大人が仕掛けた立派な罠が昆虫たちを独占してしまっている。
そららの場所は、自然というよりは、まるで大人が作った箱庭だ。
 NikonD3X Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 SILKYPIX
 NikonD3X Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 SILKYPIX

 NikonD3X Carl Zeiss Distagon T*2.8/21ZF.2 SILKYPIX

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(お知らせ)
北九州市平尾台自然観察センターにて、写真展を開催中です。是非、御覧ください。
期間 7月1日(木)〜8月30日(月)※夏休み期間中は毎日開館
内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.2〜3(月〜火) 自己責任

NikonD3X Ai AF Nikkor 28mm F1.4D
取材先で車の中に寝ていたら、真夜中に、白人の女性から
「ドアを開けてくれ。」
と迫られ恐怖を感じたことをちょっと前に書いたら、ある方がやはり車の中で眠る際に、あまりに暑いのでドアを全開にして寝ていたら、おまわりさんから危ないとひどく怒られ、反省し、それ以降は身の安全を気にするようになったとメールが届いた。
時々、カメラマン志望の方がうちの事務所にお越しになるが、以前そうしてうちに来たことがある若者からのメールだった。
自然写真家になろうとすると、いろいろなリスクが付きまとう。
そして、そのリスクに伴う不安を上回るだけの情熱を持つものだけが、写真家としてのスタート地点につくことができる。
またそのリスクはある程度は取らなければ何も始まらないし、自己責任で乗り越えていかなければならない。
ところが、その自己責任ということが、性格的に理解できる人とそうでない人とがおられ、僕が思うに、プロの自然写真家になるためには、写真の才能よりも、むしろ自己責任を理解し、自己管理ができるかどうかの方が重要であるような気がしてならない。
その点、その彼が、ちゃんと自己管理ができていることを知り、メールを読んで随分安心させられた。
ついでに、
「電池で動く扇風機がいいですよ。」
と勧めてもらったので、僕も買ってみた。
僕が購入したものは、ニトリで販売されていたもので1900円。単三電池4本で動く。
そして今晩さっそく車の中で使ってみると、確かに、なかなか涼しくなる。
家電販売店に行くと、僕が購入したものよりもより小型で、パソコンにUSB接続できる扇風機があり、そららの製品の中には単四電池でも動くものもあるようだが、単四電池で動くものは風が弱すぎるので、車の中で眠る際などに使うつもりなら、単三電池で動くものがいいように思う。
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北九州市平尾台自然観察センターにて、写真展を開催中です。是非、御覧ください。
期間 7月1日(木)〜8月30日(月)※夏休み期間中は毎日開館
内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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2010.8.1(日) 写真が分かるとは
この春にある方の写真展を見に行ったら、東郷平八郎に因んだ写真が多く展示されていたのだが、僕はふとある蚊の名前を思い出した。
その蚊とは、東郷藪蚊(とうごう・やぶか)だった。
「東郷やぶ蚊っていう蚊がいるんですよ。」
「へぇ。」
「昆虫って海の水の中にはほとんどいないのですが、東郷やぶ蚊は例外で、海辺の潮溜まりにボウフラが湧くんです。確か、東郷平八郎にちなんでつけられた名前だったと思うのですが、展示を見て、その東郷やぶ蚊を思い出しました。」
「そうそう、東郷やぶ蚊は知りませんでしたが、実は僕はそんな感じで写真を撮っているんですよ。何か連想して思いついたものを集めていく感じです。」
僕も何かを連想しながら一枚一枚の写真を撮っていく場合が多い。たとえば、阿蘇の麓で湧水の写真を撮って、次に、そこに湧水ができる原因になった阿蘇の火山にカメラを向ける。
そんな風にして物語を作りながら写真を撮る。
ただし、同じように連想をしながら写真を1枚ずつ撮りだめていくにしても、僕の場合は、その連想が僕にしか分からないようなものであってはならず、その連想の中にみなが共有するに値する知識が含まれていることを重視する。
一方でその方の場合は、逆にその連想は個人的なものであり、個人の妄想でなければならない。ただし、それらの写真がただの自己満足か?と言えばそうではなく、そうした妄想や連想自体は、おそらく誰でも多少はやっていることであり、そこに普遍性がある。
ともあれ、その方の妄想を写真で表したものなのだから、写真展で展示された一連の写真をパッと見ても、僕に理解できるはずもない。
だが、その狙いさえわかれば、展示されている写真は一種の謎解きであり、そこに面白さがある。
僕の場合は、写真は人に分かってもらえるように撮るし、技術はそのためにある。
だがその方の場合は、謎解きなのだから、写真が明解過ぎては困る。分かるような分からないような何かをいかに表現できるか。それこそが命であり、それを踏まえて写真を見ると、それらのよく分からない写真は、実にうまく撮影されているように思えた。
異性に、あなたが好きですとはっきりと伝えるのも口説きのテクニックなら、思わせぶりな態度で遠まわしな態度で伝えるのもやはり口説きのテクニック。テクニックには、いろいろなスタイルがある。
ある写真を見た時に、写真がシャープかどうかとか、色がきれいかどうかとか、ピントが合っているかどうかの前に、その人が何をしたいかが理解できなければ、その写真がいいも悪いも、上手いも下手も、分かるも分からないもない。
(お知らせ)
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内容 野村芳宏 西本晋也 武田晋一による3人展
野村さんは野鳥の行動を、西本さんはトンボの形態を、僕は生き物とその環境をテーマに、一人10点ずつ写真を選びました。
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